名前を教えてあげる。
順が要求する一糸纏わぬ姿でのあられもないポーズ。
美緒は身体が固かった。そして、2人だけの秘密を持つ。
順に懇願され、すぐに消す、という約束で携帯のカメラでのヌード撮影を許した。
美緒の大事な部分を晒した卑猥な写真。順は「すごく可愛い」と喜ぶけれど、美緒は恥ずかしくて正視できなかった。
真面目な好青年の顔とは違うもう1人の順。
嫌ではなかった。
生まれて初めて誰かに必要とされている、と感じた。それも熱望されたのだ。
それは美緒に甘い陶酔感を与えた。
「これ、『ウロ』の勉強だから」
裸の美緒の思い切り広げた脚の間に鼻先を付けて、言い訳するみたいに言った。
ウロとは泌尿器科のことだ、と順は教えてくれた。
高校生になってから、2人の男子と付き合った。
クラスメイトだった。
向こうから告白され、一緒に下校したり、休日に映画を観に行ったりした。
交際期間も半年ほど、と似たようなものだった。
美緒があまりに消極的だったのがまずかったのか、相手が美緒をリードし切れなかったのが悪かったのか、日が経つにつれ会う機会が減り、いつしか自然消滅した。