名前を教えてあげる。


順が要求する一糸纏わぬ姿でのあられもないポーズ。

美緒は身体が固かった。そして、2人だけの秘密を持つ。


順に懇願され、すぐに消す、という約束で携帯のカメラでのヌード撮影を許した。


美緒の大事な部分を晒した卑猥な写真。順は「すごく可愛い」と喜ぶけれど、美緒は恥ずかしくて正視できなかった。

真面目な好青年の顔とは違うもう1人の順。


嫌ではなかった。

生まれて初めて誰かに必要とされている、と感じた。それも熱望されたのだ。


それは美緒に甘い陶酔感を与えた。


「これ、『ウロ』の勉強だから」


裸の美緒の思い切り広げた脚の間に鼻先を付けて、言い訳するみたいに言った。

ウロとは泌尿器科のことだ、と順は教えてくれた。




高校生になってから、2人の男子と付き合った。

クラスメイトだった。

向こうから告白され、一緒に下校したり、休日に映画を観に行ったりした。


交際期間も半年ほど、と似たようなものだった。


美緒があまりに消極的だったのがまずかったのか、相手が美緒をリードし切れなかったのが悪かったのか、日が経つにつれ会う機会が減り、いつしか自然消滅した。







< 42 / 459 >

この作品をシェア

pagetop