名前を教えてあげる。
7年目の涙味Sweets
田中みどりは、かちゃりと茶碗を茶托に戻した。
ーーお昼ご飯、順君とコンビニのサンドイッチ買って、病院の中庭のベンチで食べたの。
診察が済んだ私は帰るだけだったけど、彼は忙しくて、20分くらいしか時間取れなかったから。
「美緒は、どうしていますか?」
順君は、自分の気になる事をストレートに訊いてきたわ。
「今は、婚約者と子供と3人で暮らしていてなんとなく幸せにしてるみたいですよ」
私の答えに「それなら良かった。何よりです」って、順君、安心したように笑っていた。
「7年前、三田村学園の園長室で、お父さんに叩かれて、へたり込んでいたあなたが、すっかり立派な医大生になっちゃって。なんだか面白いわ」
そう私が言ったら、照れたみたいに顎を掻いて。