名前を教えてあげる。
30分ほどで目的の駅に着いた。
駅前に数軒のラブホテルが立ち並ぶ。
改札を出て、ロータリーに出る階段降りてから、コンビニに寄った。
「ここで、今日の昼食、夜食、明日の分の朝食の買い出しをしよう」
順が言った。いつも2人でいる時は、順が美緒をリードする感じだった。
最初、日帰りのつもりだったけれど、『せっかく行くんだから、小旅行っぽくしよう』と順が提案して、1泊することになっていた。
菓子パンや弁当、パックに入ったパスタ、サラダ。
2人分の3回分の食料。結構な量だ。
あと、おやつにポテトチップや煎餅、チョコレート菓子。1.5リットルサイズのジュースのペットボトルも。
会計を済ませたら、ビニール袋3個分にもなってしまった。
メッセンジャーバッグを斜め掛けした順が大きいのを2個持ち、美緒は、小振りなのをトートバッグと一緒に腕に掛ける。
「これを持ってホテルに入るのは、格好悪いなあ」
順がバツの悪そうにするのに、美緒も、そうだね、と頷く。
でも、美緒は笑っていた。
これから、明日の朝9時頃まで順と一緒にいられる。
今夜は帰る時間を気にしなくていい。