名前を教えてあげる。
ここにはサウナがあるよ、とか。ここには冷蔵庫があるよ、とか言って。
まるで美緒が小さな子供みたいに。
赤いベッドに優しく降ろすまで、それは続いた。
コーヒー・テーブルには、食事を終えた後の2人分のパスタの空き容器、仕舞い忘れてぬるくなった飲みかけのジュースのペットボトルが載っていた。
ベージュのカーペットには、順の生成りのカーゴ・パンツ、青いTシャツ。美緒の白いレース地のキャミソール、スカート。
それらはすべて畳まれることなく、絡まるように床に散らばり、クーラーから吹き出される風に揺れていた。
そして、ベッド脇には順の黄色のチェックのボクサーパンツ。美緒の白いブラジャーと裏返ったショーツ。
そのなりふり構わぬ様は、覚えたての行為に溺れる2人の未熟さをそのまま体現していた。
もう昼間のうちに4度も交わった。
疲れて一眠りしてから、もう1度愛し合った。
夕方4時過ぎにやっと遅い昼食を摂った。
昨日、海で焼いたから美緒と順の身体には水着の後がくっきりと残っていた。
「透明のビキニ着てるみたいだね」と言って2人で笑った。