名前を教えてあげる。
2学期が始まり、しばらく経ってからのこと。
美緒が身体の変調に気付いた頃だった。
隣のクラスの男子生徒に呼び出された。
『五百部、就職の面接、受けるんだろ?俺も受けるんだ。なんか対策考えてる?
ちょっとだけ話聞かせてよ。ここじゃなんだから』
親しくもないのに個人的に話をしたいと言われて驚いたが、それは、美緒に不審がられないよう彼が考え出した口実だとすぐにわかった。
ひと気のない放課後の廊下に行くと、3人の男子生徒に取り囲まれてしまった。
意地の悪いその生徒達は、美緒に関する女子のヒソヒソ話を聴いたらしい。
『お前、妊娠してるんだって?』
1人がニヤニヤしながら、美緒に訊いた。
『やっぱ、ナマでやると気持ちいいんだ?』
『今まで何人くらいとやった?』
彼らは口々に卑猥な質問を浴びせてきた。
『関係ないでしょ!嘘ついて呼び出すなんて最低!』
気丈に突っぱねたが、1人の男子生徒がいきなり手を伸ばし、セーター越しに美緒の腹に触れた。
『イヤア!やめて!』
美緒が叫んで、身を翻した次の瞬間、真後ろにいた男子がチェックのスカートを思い切り捲り上げた。