名前を教えてあげる。
『おおおっ、ピンクの紐パン!食い込んでるし!』
『うひゃー!エロいケツ、勃つわ!』
『もっと見せてよ!』
男子生徒達は美緒をからかった。
いつもは短いスパッツを履いているのに、この時は履いていなかった。
『……わあああーん!』
下着の尻を見られた事に美緒はショックを受け、ぺたりと床に座り込んで泣き出してしまった。
それは彼らにとって、ほんの戯れに過ぎなかった。それをキャーキャー喜ぶ女子だっている。
そういう反応を期待していたのだ。こんなに泣くとは思っていなかった。
『やべ…誰か来るんじゃねえか?』
涙で濡れた顔を隠すこともなく、幼児のように泣きじゃくる様子は、明らかに普通ではなかった。
ホルモンバランスが崩れてしまった美緒は、感情をコントロール出来なくなっていた。
自分でも不思議なくらい、涙が止まらなかった。
『なんだよ…少しふざけただけなのに』
『冗談通じねえなあ…』
男子生徒達は気まずそうに顔を見合わせ、去っていった。
………はっ
ふと、気付いた時には下校の時刻だった。
順と別れてから、こんな風にとりとめもなく考え事をしている時間が多くなった。