恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
一重の涼しげな瞳に、すっと通った鼻筋、そして薄い唇。
襟足の長い黒い髪は一度も染めた事がない。
長い間空手をしていて今も自主練習をかかさない由宇の身体は引き締まって筋肉もついていて。
そういうハイレベルな外見を考えれば、記念撮影に行列ができるのもおかしな話じゃないのは私でも分かる。
性格だって……つっかかってきたり憎まれ口叩いたりはあるけれど、悪いヤツじゃない。
いいところだってたくさん知ってる。
本当は優しい事も、手が温かい事も。
「ゲームと一緒にしないで。変態」
「変態じゃねーだろ」
「じゃあ何」
睨んだまま聞いた私に由宇が笑う。
私の服の中に大きな手を忍び込ませながら。
「何に見える?」
「変態にしか見えないけど……動物に例えるなら、普段も今も、大きい狼」
「狼? おまえ、人間を動物に例えるなよ。
なに、すぐ発情するからとかそういう嫌味的な意味でか?」
「それもあるけど……そういうの関係なくても由宇ってすぐじゃれたがるから。
狼ってイヌ科でしょ? 犬でもいいけど……もう少し野獣性が高い気がするから狼」