恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
中学の時は、押し付けられた大量のボタンと持って行かれたスカーフに納得ができなかったけど、それは由宇とたくさんの時間を過ごしていくうちに納得のいくものに変わった。
由宇は、いわゆる交換こが好きなんだ。
どこか遠出をすれば、その先でお互いの好きそうなモノを買って交換するとか言うし、修学旅行の時も、訪れたお寺で買った受験のためのお守りを交換した。
交換こが好きとか女の子みたいってからかったら、「俺のモン持ってれば少しは頭の回転もよくなるだろうから」って憎まれ口を叩かれて以来、特に理由は聞いてないけどただ単に好きなんだと思う。
お揃いとかも嫌がらないし、本当に女の子みたいだ。
そういえば、家の鍵につけているキーホルダーもお揃いだけど、もうだいぶ前のだし金具が痛んできてるから新しいのを買わないと。
今のは確か、高校の卒業旅行でクラスみんなでテーマパークに行った時に買ったものだし。
そんな事を考えていると、思い切り顔を歪めた広兼さんがこっちをじっと見ている事に気づいた。
「女に興味ないって……あれだけの顔してありえんの? すっごい損してるじゃない。
何、モテすぎてとかそういう事? 獣化した女に迫られてトラウマとかそういう感じ?」
「分からないですけど、多分……」
「いつから?」
「えっと、中学……」
いつからだっけ、最初からだっけ?
そんな風に思いながら過去を思い出していた時、急にぷつりと切れている部分に気が付いた。