恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
「そんなに想われてたら、そりゃあやきもちも焼かないよね。
星崎さんが他の女といちゃいちゃしてるところなんて想像もつかないでしょ」
広兼さんに呆れたような顔で言われて、由宇が他の誰かと仲良くしているところを思い浮かべようとした。
いちゃいちゃのレベルが分からないけれど、楽しそうに笑って話していたり手を繋いでいたりキスしていたり、世間で言う恋人のするような事をしているところを。
だけど、何度想像しようとしても、頭の中は動こうとはせず止まっていて。
まるでニューズでも飛んでしまったかのように、由宇と他の誰かを映し出すハズだった場所は真っ暗なままだった。
「……想像できません」
でしょうねぇと呆れ笑いを浮かべてる広兼さんに首を振って訂正する。
「そうじゃなくて……考えられないんです。由宇が他の誰かといちゃついてるところが、言葉通り何も……」
私の想像力の問題でしょうか……と独り言みたいに言うと、広兼さんは私をじっと見てわずかに顔をしかめた。
「例えば、私が10人のイケメン俳優に想いを寄せられて困ってるのはイメージできる?」
「10人? ……まぁ、はい」
10人もの俳優さんを瞬時に頭に浮かべるのは難しいけれど、外見の整った男の人に言い寄られて困ったわーと言いながらも嬉しそうな広兼さんなら頭に浮かぶ。