恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
「じゃあ、星崎さんが融資管理課の横田さんに腕を組まれてるのは?」
「……想像できません」
10人の芸能人よりも、実際に話した事のある横田さんの方がよっぽどイメージするのは簡単だ。
現に、横田さんの名前を出されてすぐに、その容姿は頭に浮かんだし。
だけど……そこに由宇を思い浮かべようとすると、それができない。
それどころか、今までいたハズの横田さんの姿までパンと消えてしまって頭の中が真っ暗になる。
シャボン玉が割れるみたいに。
「じゃあ、名取くんだっけ? 姫川に言い寄ってきてるの。
その彼が男に言い寄られて挙句キスされてるところは?」
「……名取くん、涙目で嫌がりそうですね」
「あ、想像できるのね。えー、じゃあ星崎さんの女関係だけ考えられないの?」
「はい……」
今まで気にした事もなかっただけに自分でも不思議で仕方ない。
なんでその事だけが頭に浮かばないんだろう。
「姫川抜けてるところあるし、星崎さんに対する嫉妬心とそれに関係する想像力だけ抜け落ちてるんじゃない?」
「……そうなんですかね」