恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―


「今日、融資管理課、歓迎会なんですね」

メールを閉じながら言うと、広兼さんはそうなんだと言って少しした後、ああだからか!と声を張り上げた。

「午後横田さんと仕事関係で話した時、やけに機嫌がよかったのよ。
なるほどね。星崎さんと飲めるからだったわけね」
「……横田さんってそんなに恋愛重視する人でしょうか。仕事一筋って感じがしますけど……」

バリバリと仕事をこなしているイメージが強いから、恋愛でちょっといい事があったからといって機嫌をよくするようなタイプには思えない。

そう思って首を傾げると、広兼さんが甘いっとツッコむ。

「ああいうタイプの方が実は恋愛重視なのよ。
姫川がいい例じゃない。そんな乙女チックでふわふわした感じのくせに、恋愛軽視なんだから」
「別に軽視してるわけじゃないですけど……よく分からないだけで」
「でも、プライベートで悩んでたりしても仕事に影響させないでしょ?」
「それはだって、仕事だし」
「それを案外できない女も多いのよ。で、多分、横田さんはそのタイプよね。
だって星崎さんが入社してきてから明らかに機嫌が上下しすぎだもの」


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