恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
「姫川と星崎さんって、一緒にいた時間が長い分、なんとなくって理由でもきっとあたってるんだろうね。
自分では意識してなくても、相手に少しおかしい部分を見つけると直感的に分かるんだよ、きっと」
「そうかもしれないですね。本当にもう家族みたいなものだし……」
そんな話をしていた時、お店の自動ドアが開く。
それを何気なしに眺めていて……入ってきた人物に驚いた。
「由宇……と、横田さんだ」
私の呟きを聞いて、広兼さんも入口を振り返る。
「あ、本当だ。なに、横田さん、ランチで星崎さん誘い出すとかどれだけ必死なんだろうね」
「ちょ、やめてください! 聞こえたら睨まれちゃいますよ」
「でも、姫川と星崎さんが付き合ってるって知った上で狙うとか、なんか汚いじゃない。
きちんと付き合ってはいないとしても、関係としては恋人も同然なんだから」
「だけど、仕事の付き合いもありますし。
先輩に声かけられたら断りにくいものなんですよ」
「姫川、それは私と姫川の事言ってるんじゃないよね?」
じろっとこちらを向いた広兼さんに、まさかと笑みを作って誤魔化す。