恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
こほんと気を取り直して言うと、由宇はまた納得しなそうに何かを言おうとしたから、立ち上がり背中をぐいぐい押す。
何の話だとかうるさいから、女の子の話だと返して、ようやく大人しくさせた。
いくら由宇でもその手の話題には入り込もうとはしないハズだから。
私の女の子事情だけなら平気で入ってくるけど、広兼さんもいるし、さすがに遠慮したようだった。
できるだけ遠くの席に座ってもらい、胸を撫で下ろしながら席に戻ると、広兼さんがニヤニヤしながらこっちを見る。
「あーあ。横田さんの前で見せつけちゃって。後が怖いわね」
「……横田さんって、やっぱり由宇を狙ってるからこうやってランチに誘ったりしてるんですよね」
チラっと視線を移すと、横田さんは由宇の向かいの席に座ってニコニコとしながらメニューを眺めている。
それは今までに見た事のないような笑顔で、なんだか見てはいけないものを見てしまった気分にさせられた。
「絶対にそうよね。しかも、今の様子見る限り、やっぱり姫川と星崎さんがただならぬ関係って知った上での行動だし。
姫川から奪おうって魂胆なんじゃない?」
「横田さん、美人だしスタイルもいいし仕事もできるし、自信があるんでしょうね、きっと。
私なんてライバルだとも思ってなさそうですよね」