恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
横田さんは、あまり私にはいい態度を取らずにいつも冷たいから、その辺で苦手意識を持ってしまってはいるけど。
そういう事を抜かせば、憧れる部分ばかりだ。
外見だってキレイだし、女性って感じがして大人っぽい。その上仕事もできてってなれば、憧れないでいられる方が珍しいのかもしれない。
私自身が要領がよくなかったり、童顔だったりするからそう思うのかもしれないけれど。
ランチが運ばれてきて、じゃあ食べようかと広兼さんが言った時、私の携帯が震えた。
先に食べててくださいと告げてから確認すると、由宇からのメールで。
上司の振りして電話しろという内容のモノだった。
難しい顔をしていたからか、それに気づいた広兼さんに聞かれ、メールを見せる。
「ふぅん。つまり、退席したいって事ね。横田さんと一緒にランチとるのがそんなに嫌だとか?」
「でも……だったら、由宇は最初からついてこない気がするし」
「さっき姫川が言ってたみたいに、先輩からの誘いだったから断れなかったんじゃない?
それか、毎回誘われてて、もう断りにくいから一度行っておくか、みたいな」
そうかもしれないな、とは思うのの、なんだか釈然としなくて。
眉間にシワを寄せたまま携帯画面を見つめていると、広兼さんが電話しないのかと聞いてきたけれど。
そのまま携帯をしまった。