恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
星崎さんが作ってくれた具だくさんのホワイトシチューをみんなで食べて、それからお風呂に入って。
部屋でドライヤーをかけていると、ノックなしで由宇が入ってきた。
私の後にお風呂に入ったんだろうけど、いつものように髪がびしょびしょだ。
いい加減ドライヤーの存在を知ってくれてもいいのに。
ため息をつきながら自分の髪を乾かして、それからベッドに胡坐をかいている由宇を呼ぶ。
別にいいとか言われたけど、強く言うと、仕方ねーなって感じに由宇が腰を上げる。
仕方ねーなはこっちの台詞だ。
私が由宇の髪を乾かしてあげなくちゃいけない義理なんてないのに、由宇が自分に無頓着すぎるから!
人の事、無頓着だとか無防備だとかよく言うけど、由宇だってそうじゃない。まったく。
そんな事を考えてひとりで怒りながら由宇の髪を乾かして、ドライヤーのスイッチを切る。
それから、机に向かってライフコンサルタントの問題集を広げたところで、由宇に呼ばれた。
振り返ると由宇は、さっきと同じようにベッドで胡坐をかいていて。
「またその問題集かよ。飽きねーの?」
「飽きるとか飽きないの問題じゃないでしょ。勉強なんだから」
「まぁ別にいいけど。こっちきてやれよ」
「……そっちに行ったら多分勉強できなそうだからいい」