恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―


ふっと微笑む由宇の深い愛情に、苦しいなんて表現じゃ足りないくらに胸が締め付けられていた。

私は、どっぷりと由宇の優しさに浸かっていたんだと今更気付かされる。
自分でも由宇に甘えているのは分かってたけど……私が思うよりもずっとずっと由宇に大事にされてたんだって気づいて、じわりと涙が浮かぶ。

「私は……つい最近までずっと、由宇との間に好きだとかって言葉は必要ないと思ってたし、恋人って関係だっていらないって思ってた。
やきもち焼かない事も、そういうのも、なんでだろうとは思ってたけど、ちゃんとした答えは分からなくて。
でも……やっと分かった。無意識に、自分が傷つかないように守っていたからだって」

好きだなんて言って手を伸ばして、もしも振り払われたら?
恋人なんて関係になって、もしも別れの時がきたら?

私が恋愛感情に対して鈍感だったのは、元々の性質だけじゃない。
由宇を失うかもしれないって事ばかりを無意識に恐れてたからだ。

言葉に残る関係はいつか壊れてしまう気がして、怖かったから。

周りに変だって指摘されなければ気づけないほどに、無意識にがちがちにガードしてたんだ。
やきもちさえ、心の裏側に隠して。



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