恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
「俺は生半可な気持ちで就職先を決めたわけじゃない。
あの会社ならおじさんにもダイレクトに実績が伝わるし、それに……」
「……それに?」
「梓織の隣にいるのが俺の――」
そこまで言った由宇が、口を閉じ微笑みを浮かべる。
どうやらそれ以上先を言うつもりのない様子の由宇に痺れを切らせて、何を言おうとしたのか先を促したけど。
それより、たまには俺の部屋ですんのも新鮮だな、なんていつもの調子で言い出した由宇にそのまま押し倒されて催促を禁止される。
その先が知りたいのに、由宇のキスに邪魔される。
だけど、強引なくせに一方的じゃないキスが嬉しくて。
いつも通りが嬉しくて……流されるまま、由宇のキスに酔いしれる。
頬に触れた手が、首筋を通って肩を通って……身体のラインを辿るように脇腹をすーっと撫でていく。
着ていたワンピースをまくり上げた由宇の手が直に腰のあたりからなぞり上がってくる。
「……ん……っ」
キスを続けながらの愛撫に既にいっぱいいっぱいになってしまった私は、由宇から与えられる感覚に反応する事しかできない。
もう何十回かもしくはそれ以上してる行為だけど、未だに慣れずにすぐに高められてしまう身体が悔しい。
いい加減、由宇の指先や唇に耐性がついたっていいハズなのに。