恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
「あ……っ」
慣れるどころか、由宇に触れられる気持ちよさを知っている身体は、回数を重ねる毎に由宇の体温にその先を期待してすぐに熱を持つ。
もう条件反射に近いのかもしれない。
それほどまでに何十回、何百回ってふたりで交わしてきた行為だから。
もしかしたら、気持ちを言葉にしない分、身体を重ねる事で確かめ合っていたのかもしれない。
お互いの気持ちや、存在の大きさを。
「梓織」
私の身体をひとしきり翻弄した由宇が、静かなトーンで呼ぶ。
与えられる快感が強すぎて閉じていた目をゆっくりと開けると、真上から私を見つめる由宇と視線がぶつかった。
「ん……なに?」
「俺と付き合え」
驚いて、一瞬声が出なかった。
今までふたりの間で出なかった話題だし、私の頭は今半分くらい溶けていて正常に動いていないしで、訳が分からなかった。
けれど……今までは由宇が私を心配してあえて出さなかった事を今言ったって事がどういう事なのかが分かって……。
ふっと笑みをこぼした。
「私から言うまで待つって言ってたくせに」
「もう言ったも同然だろ」
「言ってもないし、由宇からも言われてないじゃない」
じっと見上げて聞くと、由宇は少しだけ顔をしかめた。