恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
「言っただろ、俺と付き合えって」
「そんな偉そうな告白があるわけないじゃない。それに、付き合う以前にまだ好きだとか一度も言われてないし」
「それはお互い様だろ」
「だとしても、一回くらい言われてみたいし……」
「いいから付き合えよ」
「好きって言ってくれたら……ひゃっ……ちょ、由宇っ」
由宇が急に指先を動かすから、思わず腰を引きそうになったところを、由宇の腕に止められる。
私の首の下を通して肩を抱く由宇が、指先の動きはそのままに私をじっと見下ろした。
「やぁ……っ、あ、だめ……っ」
「大人しく俺と付き合うよな」
「んん……っ、こんな、の……ズル、い……っ」
「聞こえない」
与えられる感覚に耐えきれずに、意地悪に私を見下ろす由宇を悔しくなりながらも見つめ返して。
その首に腕を回して抱き寄せ、そして私からキスをした。
言葉にはならなかったイエスの返事。
それに気づいた由宇が、満足そうに笑った。