恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
中学の時は、色んな子が私に話しかけてきてくれたって事が嬉しくて、友達になれた事がただ嬉しくてはしゃいでたのに、結局由宇に近づくのが目的だったのかって友達の態度を見て分かって。
その時は悲しくて泣いて、由宇にかなり八つ当たりをした。
由宇は、別に俺がいるんだから友達なんかいらねーだろとか言ってたけど、由宇は分かってないんだ。
女同士の友情がいかに大事かを。
トロいって理由で小学校時代いじめられてきた私にとって、初めてできた友達がどれだけ嬉しかったかを。
学習能力の乏しい私は中学で学んだハズなのに、高校入学した時も、友達になろうって声をかけてきてくれた事に舞い上がってしまって。
その子が由宇の誕生日に、由宇が欲しがってたからって理由で私があげようとしていたスポーツバックを私より先に渡しているところを見た時にああこのパターンかって悟った。
私がそのバックをもう買ってあって、その日の夜に渡すって話までしていたのに。
その子は同じものを買って、私よりも先に渡していた。
驚いた由宇に、なんでこれが欲しかったって知ってるのかって聞かれたその子は、一生懸命調べたからって答えていて。
なんだかやりきれない気持ちになったのは今でも鮮明に覚えている。
由宇に気づかれないようにって、数ヶ月前から遠回しに遠回しに探って調べたのは私だ。
それを全部その子にも相談したり話したりしていたのにって、ショックだったけど……。
電車通学なのに、大きなスポーツバックを学校まで持ってきて由宇に渡してって事を考えると、それだけ好きなのかと思って何も言えなくて。