恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
「君、いいね……。僕の女王様になってくれない?」
「……は?」
「勝気な感じも見下すような態度もいい……。
小柄で可愛い顔してるっていうギャップも堪らないし……まるでララミちゃんみたいだ」
「ララミ……?」
「僕が今やってるゲームに出てくる女の子。君に似てるんだ」
「……もしかしてえっちな感じのゲーム?」
「そう。エロゲー。好きなんだ」
由宇がやっててもひかないとか言ったけれど、やった結果こんな風になったらやっぱりひくかもしれない。
後でそんな変なゲームやらないように言わないとと思いながら、一歩たじろぐ。
さっきまで怯んだ態度だった痴漢が急にぐいぐいきだすから、奮い立っていた戦意が揺らぎだす。
弱気な感じだったから、見せるなら見せればって思えていたけれど、強気でこられるとさすがに気持ち悪い。
今までは自分の裸を見せる事しか考えていなそうだったのに、今は私に興味を持ってる目をしていて、それがまた嫌で背中を冷たいモノが走り抜けた。
性的な目で見られている事に、恐怖さえ覚える。
だって、早く僕をいじめてよ……とか気持ち悪い事言ってるし。見せて興奮する性癖も意味分からないけど、いじめられて興奮するとかもう本当に分からないし異常だ。
なんかもう痴漢って類に収まる感じじゃない。
変態だ。しかもかなり重度の――。
倒せるかもしれないけど、触りたくないと思ってしまって、殴りかかるのも躊躇ってしまう。
しかも殴ったり蹴ったりしても喜びそうだからまた嫌だ。
そんな変なプレイに付き合うつもりなんてさらさらないし、早く帰ってチョコを由宇に渡したいんだから。