恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―


由宇が謝れって言ってるのは、ひとりで出かけた事だっていうのは分かってたけど……。
そもそも事の発端は、由宇が私の心配を受け入れてくれなかったからだし、なんだか謝るのが癪に思えてしまって素直にごめんねが出てこなくて。

「分かってんだろ?! 素直に謝れ!」

しかも由宇が乱暴に言うから、私もまったくもって素直に謝る感じではなくなってしまう。

「嫌っ! だって元々由宇が私の事うるせーとか言うからあんな事になったんだもん!」
「おまえがしつこいのが悪いんだろっ」
「由宇が全然言わないからでしょ?! 由宇が悪いの!」
「おまえだろ! 痴漢が出るって言ってんのに、拗ねてひとりでふらふら出かけやがって!
おまえみたいな小さい女が痴漢のターゲットになんのがなんで分かんねーんだよ!
挙句、襲われてるし。とにかくおまえが悪い」
「抱きつかれはしたけど、あの後どうにでもなったもん!」
「嘘つけ! 涙目だったくせに」
「それは、痴漢が私の事変な目で見てくるから……」
「痴漢なんだから変な目で見てくるに決まってんだろ! 健全な目した痴漢なんかいねーよっ」
「最初は違ったの! 最初は見せようとしただけだったから怖くなかったし……」
「おまえ、自分がそういう変なヤツに狙われる可能性があるってもっと分かれよ!
もしあれでなんかあったらどうしてたんだよ! おじさん泣かす気か?!」


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