恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
由宇は私が嫌がってても、体調が悪いとかじゃない限りは自分の意思を突き通す事がほとんどで。
だから、無理やり気味が好きなんじゃないかなって思い始めたのが、由宇を変態扱いする事の発端だ。
せめてもの抵抗で睨みつけても、煽ってんの?とか言うし、あまり抵抗しても変なスイッチを入れちゃいそうだから、私も最近は諦める事が多いのだけど。
でも、だからって気が向かない時も本当にあるんだって事は覚えてくれないかなと思う。
逆に言えば、なんでこうも由宇はいつも求めてくるのか不思議だ。
しかも、いつも顔を合わせれば口げんかになるような女相手に。
由宇は私を押さえつけたまま、おでこや目尻、耳、唇にキスを落とす。
他の場所と違い、唇を押し付けるだけには終わらなかったキスを受け入れていると、由宇が中断させて少しだけ距離を作って私を見た。
「痴漢なんかに触らせやがって」
「由宇だって私が嫌がったってそんなの無視してしょっちゅう触ってるじゃない」
「俺はいいんだよ」
「言っておくけどね、嫌がる女の子に無理やり触って何かするのは痴漢と変わりないんだからね!
由宇、嫌だって言ってもいっつも……」
「とにかく、明日から絶対夜の一人歩き禁止だからな」
「禁止って……私だって色々都合もあるしもう大人なんだからね。
遭うかどうかも分からない痴漢を心配して家から出さないなんて過保護すぎ」
「どうとでも言え」