恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
「それに、痴漢の件だって今回は変な遠慮しちゃったけど、本気出して殺すつもりでいけば自分の事くらい守れるし」
「へー。いっつも抵抗しながらも最終的には俺にいいようにされてんのに?」
「それは……っ」
由宇が相手だからじゃない。
素直な気持ちは言えずに口ごもると、由宇はため息をついて私のおでこと自分のおでこをくっつける。
「とりあえず、俺のために約束しろ。夜出歩くの禁止だって」
そこまで強制されるのもどうかとは思うけど。
こんな風にお願いされちゃうと断る気にもなれなくて、「分かった」と約束する。
「じゃあ、夜出かけたい時は由宇が一緒についてきて」
「ああ。言っとくけどケンカ中もだからな」
「じゃあケンカ中に夜出かけたくなった時は、出かける前に由宇に謝ってもらってスッキリして出かける事にするから、今後ケンカしたら由宇が絶対謝ってよね」
由宇は少し難しい顔で笑ってから、ため息をつく。
「まぁその辺は臨機応変に対処するとするか」
「そんなのずる……」
「い」の言葉が由宇の口に塞がれて消えていく。
そのまま苦しいくらいのキスを少し強引にして、由宇の手が服の下から入り込んでくる。
撫で上げる指先に身体を震わすと、由宇がそんな私に気づいてふっと微笑んだ。
そして、首筋に顔を埋めながら話す。