恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―


別に、広兼さんを信用してないとかではない。
むしろ信用してるし、厳しい時もあるけど何でも相談できる人だとは思ってる。

だけど、由宇との関係をどう説明すればいいのかが分からなくて。

だって由宇は昨日、融資管理課の人に関係を説明したらしいけど、何て言ったのかが分からないから、私と由宇とで言ってる事がちぐはぐになっちゃったらおかしいし。

だから、昨日も今日の朝も何度も聞いたけれど、由宇は結局教えてくれなかった。
「梓織がなんて話しても辻褄は合うから」ってだけで。

そんな便利な解答なんて絶対にない。
そうは思ったけれど、由宇も頑固なところがあるからこれ以上聞いてもまた怒らせるだけかと諦めるしかなくて。

どう言うべきか悩みながら仕事をしているうちに、いつの間にか時計は進んで12時半を回っていた。

午前中の処理が多かったからランチに行くタイミングを逃してたけど、広兼さん怒ってたらどうしよう。
そう思って隣を見ると、広兼さんも何やらたくさんの処理に追われているようだった。

「姫川、あとどれくらいでキリがつく?」
「あ、えっと……15分くらいです、多分」
「じゃあ30分弱って事ね。13時までに片付けてそれからランチ行こう」


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