恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
体育祭の時、私は保健委員だったから、当日は転んだ人とかの手当を担当していたのだけど、由宇が保健委員でもないくせに俺がやるって割り込んで、私の仕事を片っ端からやってしまったりだとか。
二人三脚では、身長差がないようにって背の低い男子と組むハズだったのに、なんでだか由宇と一緒で、後から聞いたら男子にジュース一本で交換させただとかで。
あとは、クラスの男子と番号交換した時には、その日の夜に勝手に携帯をいじられてその子のアドレスを消去されたり。
そういうのはやきもちって言うのかを聞くと、広兼さんは深く深く頷いた。
「嫉妬深いね、星崎さん……」
「え、そうですか?」
「そんな束縛されても姫川は何も思わないの?」
「由宇の言う事は大体正しいし……。
私自身もそんなに拘ってるところじゃなければ何も思わないです。
でも、昨日の痴漢のせいで夜の外出禁止になったので、それはちょっと不便かなって思ってますけど」
広兼さんが、私と同じオムライスを食べながらこちらをじっと見つめる。
そしてしばらくそうした後、「姫川って恋愛オンチ?」と聞いた。
「っていうか、多分そうだよね。姫川、恋愛自体がなんなのかまだ分かってないでしょ。
星崎さんに言われるままされるがままで、近寄ろうとする男はみんな星崎さんにブロックされて、星崎さん以外の男に大した面識もなくここまできた感じでしょ?」
そう言われればそうなのかなと思って黙っていると、広兼さんが続ける。