恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―


「由宇がやらしい事言うからでしょ! エッチなゲームでもすればいいじゃん! 今あるんでしょ、そういう……なんかとにかくいやらしいゲーム! 萌ってやつ!」
「ああ、エロゲー? よく知ってんな、そんな事」
「会社の人が言ってたから。彼氏がハマっててひくって。
私は由宇がそういうのしててもひかないからしてていいよ。勝手にその辺で萌えてていいから問題集返して」
「おまえ、俺が言ってた事聞いてた?
梓織で楽しみたいって言ってんだろ。二次元の女なんかに興味もねーよ」

ぐいっと肩を掴まれて抵抗むなしく簡単に裏返される。
身長160弱の私と170強の由宇とじゃ体格差がありすぎるから、いくら私が抵抗したところで何の意味もないのはもう分かりきった事だけど、毎回の事ながら簡単に好きなようにされてしまうのは悔しい。

顔を隠す事ができなくなって睨むように見上げると、私の上で由宇がにっと口の端を上げた。

「エロゲーなんかより、梓織の今の顔の方がよっぽど萌える」
「睨みつけてるんだけど」
「嫌がってる梓織をどう攻略するのか考えると燃えるんだよ」


由宇と初めて逢ったのは小学生の頃。
その頃から大人びた顔つきをしているとは思っていたけれど、それは成長するとともにどんどんと魅力を増していって。
中学高校大学と、卒業式では記念写真を撮りたがる女の子に身動きひとつとれないほど囲まれていた。





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