恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―


家族といえば家族だなとも思うけれど、お父さんへの気持ちと由宇への気持ちは、当たり前だけど違う。
お兄ちゃんとかがいたら由宇への気持ちと同じ思いを持つんだろうかとも考えたけど……それも考えたところで分からないし。

恋とも違って家族とも違う私の由宇への気持ちって一体なんなんだろうと不思議になる。

それは確かに私の中にあるし、他の誰への想いとも比べ物にならないくらいに大きく存在しているのに名前だけがつけられなくて……もどかしい。

やきもちのひとつも焼ければ、これが恋なんだって納得できるのに。

「で、名取くんと会うの? 来週だっけ?」
「待ってるって電話切られちゃったし……研修の方が終わるの早いから多分会いますよね……」
「それ、星崎さんに言うの?」
「一応。そういうの言わないと後で怒りそうだし。
それに由宇もいつも待っててくれるから、必然的に名取くんとも顔合わせる事になるだろうし」
「まぁ黙ってるよりいいんだろうけど……星崎さん機嫌悪くなりそうね。
そんなにしつこく言い寄られてるなんて耐えられないんじゃない?」
「確かに機嫌は悪くなりそうですけど……。
でも、いつも思うんですけど、誰に言い寄られたって、私は結局由宇の一番近くにいるんだしそれはずっと変わらないって由宇だって分かってると思うのに、なんで不機嫌になったりするんですかね」


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