恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
それに、考えてみれば、由宇はぼんやりした事って嫌いでいつもなんでもハッキリさせたがる性格なのに、なんで私たちの関係についてはハッキリさせようとしなかったんだろう。
私は今の関係に特に疑問を持った事はなかったけれど、由宇からしたら嫌だったに決まってる。
白黒はっきりさせたい性質なんだから。
それなのになんで……。
まさか私が断るとでも思ったとか?
そんな風にも思ったけれど、あの自信家の由宇が自分が振られるなんて事を考えるハズがないと思い直す。
でもじゃあ、なんで今までも今も、由宇にとったら不本意な関係のまま何も文句を言わないんだろう。
何か理由でもあるの?
「姫川は恋愛にガツガツしてないし、恋愛感情自体微妙な感じだから関係をハッキリさせなくても平気なんだろうけど……。
男はやっぱり、自分のモノってしておきたいんじゃない?
だって、彼氏がいるのといないのじゃ、周りの男に狙われる確率だって違うじゃない。
姫川から好きだって言った事ないんでしょう? だから余計に不安にもなるんだよ、きっと」
「でもそれは由宇からだって言われた事ないし……でも私は不安じゃないです」
それもなんでだろう。
広兼さんの言うように、私がぼんやりしていて恋愛感情が足りないからなんだろうか。