恋よりもっと―うちの狂犬、もとい騎士さま―
「もしかして……由宇もただ恥ずかしいから言わないだけかも!
ほら、最初に好きって言っちゃうと相手に主導権握られるとかそういう話をテレビでも言ってたし、それを真に受けて……!」
負けず嫌いの由宇ならあり得る!
「ないでしょー。星崎さんサラっと言えそうじゃん。
それに、姫川と星崎さんの関係に主導権とかそれこそ今更じゃない。
今お互いどっちかが好きって言ったところで、今までの関係性は変わらないでしょ」
「……そうですね。それに由宇は好きとは言えなくても、俺のモンになれとか彼女にしてやるとか、そういう上から目線の事なら平気で言うだろうし……」
あり得るかも!
瞬間的にはそう思ったけれど、広兼さんに「ないでしょー」と言われるのと同時くらいに自分でもないなと思い直した。
由宇は、好きだって言葉に代わる上から目線の命令言葉を簡単に思いつきそうだし、それに自分が言いたくないなら私に言わせようとするに決まってる。
いつもの、どっちがごめんね言うか合戦だって、結局私が折れる事の方が多いんだから、それと一緒だ。
折れるというか、折れさせられるんだけど。ボキっと無理やりに。
私に言わせるために由宇が考えた作戦だったら、悔しいけど私はきっと由宇の思惑通り好きって言葉を口にしちゃいそうだし。