生贄七人、ながし雛
 最初に思いついたのが比奈子の家だったけれど、比奈子は違ったのかな。そう思うと少しさみしくなった。

 ポケットに入れたスマホには次々メールが届いているけれど、比奈子の居場所を知っている人はいないみたいだ。

 カウンターの中からマスターがたずねてくれる。

「……朝ごはん食べた?」

「ううん、食べてない」

 今日は起きるのが遅かったから、朝ごはんはまだ食べていなかった。お昼は比奈子と一緒に食べるつもりだったし。

「ミックスサンド作るから食べていきなよ。お金は気にしなくていいから。比奈子ちゃんと探しに行くなら、ちゃんと食べておいた方がいいよ。腹が減っては……って昔から言うしね」

 慌てて出てきたから、財布を持ってくるのを忘れていた。きっとマスターにはそれも見抜かれているんだろう。

「……いただきます」

 マスターに甘えて、ミックスサンドをご馳走になることにした。
 
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