生贄七人、ながし雛
 放課後、B組に行ってみたら坂本さんはいなかった。部活に行ったのかなと思っていたら、今日はさっさと『ハピネス』に行ったみたい。

 他に行くところもないから、私達もハピネスに向かうことにする。懐かしい雰囲気の喫茶店は、学校帰りの生徒達でちらほらと埋まっていた。

「いらっしゃいませ」

 入口のベルが鳴るのと同時に声をかけてくれたのは、B組の坂本さんだ。
 
 どっちかというとぽっちゃり気味なんだけど、ものすごい癒し系だって男子の間では密かに人気があるらしい。
 
 まだ十七なのに癒されたいってどういうことだって思うんだけど、私も顔を見たらほっとしちゃうから似たようなものか。

「原さんと須田さん……だよね? カウンターにする? それともテーブルにする?」

 私と彩佳は並んでカウンターに腰かけた。ここからマスターや他の従業員の人達が働いているのを眺めるのが好きだった。
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