生贄七人、ながし雛
 比奈子のことが心配で、勉強なんか手につくはずもないんだけど、テストをさぼるわけにもいかない。

 ひな祭りの方はあいかわらず盛り上がっていて、駅前の通りはいつもの何倍も込み合っていた。

「おはよう、さっさとテスト終わるといいね」

 教室で顔を合わせた彩佳は、朝から憂鬱そうな顔をしていた。それは私も同じなんだけど。

 比奈子がいなくなってから、何も手につかなかった。昨日なんて、味噌汁に味噌を入れ忘れてテーブルに並べちゃうところだったし。

 スマホにはぽつぽつと連絡が入ってくるけれど、有力な情報はなかった。まだ比奈子がいなくなって一週間もたっていないのに。

 集中できないまま、必死にテスト用紙を埋めていく。半分以上埋まらないところもあったけれど。
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