生贄七人、ながし雛
昨日から私、志保の住んでいる貴江市では、大々的に雛祭りが行われている。
雛人形をいつまでも出しているとお嫁に行けなくなるというのが一般的な言い伝えらしいんだけど、この地域では一か月出しっぱなしなのだ。
町中のあちこちに雛人形が飾られていて、時期によっては梅や桜の名所での花見ができる。だから、毎年三月は観光客が増えて、街中がとても賑わっているのだ。
正直、期末テストと同じ時期なので、高校生である私にとってはちょっと迷惑だったりする――けれど、この時期は私の両親がやっている店も「かきいれ時」なので文句は言えない。
「そう……比奈子、昨日から帰っていないらしくて。おばさんかおじさんから連絡なかった?」
「いや、来てないよ。うちに来ている可能性は低いと思ったんだろうね」
「……そっか、そうだよね」
私だって家出をするなら、この店じゃなくて違うところに行くと思う。
雛人形をいつまでも出しているとお嫁に行けなくなるというのが一般的な言い伝えらしいんだけど、この地域では一か月出しっぱなしなのだ。
町中のあちこちに雛人形が飾られていて、時期によっては梅や桜の名所での花見ができる。だから、毎年三月は観光客が増えて、街中がとても賑わっているのだ。
正直、期末テストと同じ時期なので、高校生である私にとってはちょっと迷惑だったりする――けれど、この時期は私の両親がやっている店も「かきいれ時」なので文句は言えない。
「そう……比奈子、昨日から帰っていないらしくて。おばさんかおじさんから連絡なかった?」
「いや、来てないよ。うちに来ている可能性は低いと思ったんだろうね」
「……そっか、そうだよね」
私だって家出をするなら、この店じゃなくて違うところに行くと思う。