俺様の言う通りにはならない

 気付くと
 うちは下げていた顔を上げられていた


 その瞬間女子達の絶叫のような悲鳴が
 教室中に響く

 いや廊下までだろうか


 女子達の悲鳴を聞いて嫌でも現実に即、
 引き戻されてしまう



 何が起きたのか


 答えは簡単
 うちの顔を上げたのは優志だった。
 
 そしてあろう事か二度目の“キス”を
 してしまっていたのだ


 ぼーっとしていて気がつくと

 優志は離れてうちの頭を横に引き寄せ
 自然と少しもたれる体勢になった


「…あのさぁ俺の所有物あんまり
 困らせないでよ

 大事なんだよね“これ”」



 うちはやられるがままだ

 
 うちは物なのか

 コイツの

 ─『物』なんだ。

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