グッバイ・メロディー


プレゼントは、ギターの弦やピックといった実用的なものから、アクセサリー的な身に着けるものまで多種多様だ。


食べものはほとんどがチョコ。

コンビニで売っているような市販のお菓子も、手作りっぽいラッピングもある。


なかでもいちばん高級なのは間違いなくブルゴリだな。

いったいどんな味がするんだろう。


手紙もたくさん受け取っていた。


プレゼントやチョコに添えられていたり、それだけの単体だったり。

封筒の色や形は様々で、名前の有無も各々で、字にもぜんぜん違う癖があって。


こんなに小さな空間にひとりひとりの想いがぎゅっと詰めこまれているんだと思うと、それがこうして相手の手元に届くこと、奇跡のようにさえ感じてしまうよ。


甘党大魔神のはずのこうちゃんは、チョコよりも手紙に夢中だった。


一通ずつを宝物みたいに丁寧に開いて、とても真剣な目をして読むんだね。

その光景を眺めていたらわたしのほうが感極まって、とてもブルゴリところじゃなくなってしまった。


10センチ四方のサイズに、いったいなにが敷き詰まってるんだろう。

どれくらいの時間をかけて書いたんだろう。

文字に起こしてまで、なにを伝えたいと思ったんだろう。


ものすごく気になったけど盗み見はしない。

こうちゃんのためだけに綴られている言葉を、ほかの誰かが知ってしまっていいわけない。

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