グッバイ・メロディー


「単刀直入に言うと、エッチしたってこと!」

「エッ……!?」


なにをさらりと!
言いますか!


べつにわたしだってなにも知らない子どもじゃないし、はなちゃんを筆頭に、友達の半分くらいはすでにそういうことを経験済みだというのもわかっている。

だけどいざストレートにそんなことを言われると顔面がぼぼぼと熱くなってしまう。


ついでに、アキくんとみちるちゃんが……って、絶対に想像してはいけないことまで考えてしまった。


そんなわたしをおもしろがって、乗っかったたままの手のひらがさらにぐりぐりと頭を撫で回す。

もう髪がぐちゃぐちゃだ。


「でもまあ、やることやっちゃったワケだし。いちおう、なんとなく? 前向きに検討しないとなあとは思ってるけどね」

「なんかさっきから全部あいまいだなあ」

「これくらいでいーの。だって若くてかわいいコが腐るほど周りにいるのに、もったいないでしょ。あんまり本気にしてないし、あたしも本気にはならない」


頬杖をついたみちるちゃんが見せたその微笑みは、悲しみや切なさじゃなく、なんだか余裕と勝気が滲んでいた。

ザ・大人の女って感じの笑い方。


これはアキくん、本気ならちょっとがんばらないといけないかもしれないよ。

みちるちゃんはきっと想像以上に手ごわい相手だ。


もういちど煙草をくわえた口元はなんともセクシーで、同性のわたしでも思わずどきっとしてしまった。

わたしはきっと7年後、こんなに色気のある女性にはなれていないと思う。

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