グッバイ・メロディー


「ていうかさ、季沙ってほんとにウブなんだね」

「べつにそんなことないもん」

「あれ? じゃあ洸介くんとはエッチしてるんだ?」

「ちょっ……と、いまなんて言ったの!?」

「やだ、嘘でしょ? あんなにベタベタしといて? してないの? 信じらんない!」


信じらんない、のはわたしのほうです!


いきなりなにを言うかと思えば!

聞き間違えじゃなければとんでもないこと言われた気がするのだけれども!


「チュウはさすがにしてるよね?」

「ええ、なんで……? してないよ……?」


意味不明みたいな顔、わたしがしたいのに、どうしてみちるちゃんのほうがそういう目をするわけ。


「へえ! いまどきピュアな関係もあるもんなんだねえ! すごーい! 天然記念物に認定されんじゃない?」

「もー、ばかにしてるでしょ!」


つきあってるのかって、やっぱりよく聞かれる。

でもエ(だめ恥ずかしい)してるのかって聞かれたのは、これがはじめて。


たしかにこうちゃん、手をつないできたり、ぎゅっとしてきたり、果てはいっしょに寝たがったり、甘えんぼうなところは大いにあるけれど。


そういうことをしたい、みたいな空気を出されたことは、これまでに一度たりともないな。

ねぼすけだからベッドに入ると秒速で寝ちゃうことがほとんどだし。

< 181 / 484 >

この作品をシェア

pagetop