グッバイ・メロディー
それからまる1週間、こうちゃんは学校に来なかったし、隣のわたしの家にも来なかった。
あんなに不安でたまらない夜を過ごしたことはない。
あの真っ黒い渦がこうちゃんを連れ去ってしまったんじゃないかって、本当に怖いことを考えて、夜になるとじわっと涙が滲んだりもした。
「――これ、父さんのやつ」
それなのに、久しぶりに顔を合わせたこうちゃんは、わたしの不安なんかおかまいなしにケロリとしていて。
1週間前には携えていなかったはずの年季の入った“それ”を、どこか嬉しそうに見せてくれたんだ。
「……ギター?」
「うん」
それが、始まり。
「なんか、かっこいいなと思って」
こうちゃんと、わたしと、形見のギターと。
「……うん。うんっ! すっごくかっこいい!」
3人の出会いが、すべての始まり。