グッバイ・メロディー


頭のなかにハテナがいっぱいで困る。

そのハテナを口にするのすら追いつかないから、本当に困った。


「か、かく……って」

「絵は季沙のほうが描けるし」


やっとの思いで絞りだした質問は軽く跳ね返されてしまった。


「季沙は俺たちの一部だから、どうしてもどっかにその要素が欲しいと思った」


ただ隣の家に住んでいるだけの幼なじみにはもったいなさすぎる、プレゼントみたいな言葉。


どうしてこうちゃんはこんなことを簡単に言えちゃうんだろう。

普段は無口すぎるくらいで、もうちょっと自分のことをちゃんとしゃべってほしいと思うほどなのに。


「せっかく最初のCDだし」


わざわざ『最初の』なんて言うってことは、『次の』があるということなの?

こうちゃんは、みんなは、どこにむかって進んでいるの?


「プロになるの……?」


なんだか現実味がなさすぎて、ふわふわした声になってしまった。


こうちゃんがちょっと笑った。

プロって?と、わたしが聞きたいことそのままを聞き返されてしまう。


「だってCDデビューするんでしょ」

「デビューじゃない。俺たちが勝手に作るだけ」


利益目的じゃない、と説明されても、ふやけた脳ミソじゃあんまり理解できないよ。

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