グッバイ・メロディー


「あのね、洸介が思ってるよりもずっと、きっちゃんは洸介のことが大好きだよ」


いきなりなにを言い出すかと思えば。


「……俺のほうが好きだけど」

「あーはいはい知ってる知ってる! 洸介がどうしようもなくきっちゃんを好きなことは、幼稚園に入るずーっと前から知ってますとも」


デコピンならぬ鼻ピンをされた。

けっこう痛い。
普段から力仕事をしている看護師は力加減がなっていない。


「伝えようと思って伝わらない気持ちはないからさ。たとえばそれぞれの事情があってもし本当に距離が開いちゃったとしても、お互いのこと大好き!って気持ちがあれば乗り越えられるんじゃないかな」

「……そうかな」


そんなに簡単なことだろうか。


「そうだよ。でもそのかわりちゃんと納得するまで話しあわないとダメ! 女の子はほんのちょっとのことですーぐ不安になるんだからね。そしたらサッとほかの誰かに……」

「やだ」

「でっしょー? お母さんもね、洸介ときっちゃんの結婚式を楽しみに生きてるんだから!」


ああ、ちゃんと、話そう。


「洸介ときっちゃんならぜったい大丈夫」


俺の気持ちを伝えて、
季沙の気持ちを聞いて。

これからのこと、ふたりで一緒に考えよう。

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