グッバイ・メロディー
⋆°。♬


こうちゃんがどんどん遠い存在になりつつあること、どれほど見ないふりをしても、やっぱり感じずにはいられなかった。


幼なじみで恋人のこうちゃんと、あまいたまごやきのギタリストの瀬名洸介くんは、きっともう別の人なんだ、って。

心の片隅で、ずっとそう思っていたの。


だから「東京に行く」と言われたとき、えぐれて心が半分になった感じがした。

なんとなく予感していたことだったけど、いざそう言われると、どうにもさみしい気持ちが止まらなくて。


ひとりで東京に行ってしまったこうちゃんは、いつかわたしのことなんか忘れて、知らない誰かと幸せになってしまうのかな、

なんて、悲しすぎる想像をしたりもした。


だけどわたしのなかに、こうちゃんを応援しない、という選択肢なんてなくて。

ずっと、ぐるぐるして、潰れてしまいそうだったよ。


こうちゃんのこと、大好きだから手放したくなくて。

こうちゃんのこと、大好きだから応援したくて。


だから、本当にうれしかった。

連れていきたい、と言ってもらえたとき、泣いちゃうくらいに。


すごく、幸せだと思った。

なにがあってもこの人の隣を離れないと、やさしい腕にぎゅっと包まれながら、誓ったんだ。

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