グッバイ・メロディー
「ね、こうちゃん」
「ん?」
「いつも大丈夫なの? ごはん食べてる? 洗濯してる?」
「毎回そればっか。ちゃんと自炊もしてるって」
「うそだあ」
「ほんと。たまにだけど」
「こうちゃんの『たまに』はどうせ月イチくらいだな!」
あいまいに小さく笑った。
これは図星の笑い方だ。
そして、いいかげんに逃げるための作戦だ。
やっぱり心配せずにいられない。
毎回しつこく確認するわたしに、こうちゃんはそろそろあきれているみたいだけど。
「俺は季沙が来たときだけ、ダメなやつになる仕様だから」
コーヒーを飲んだあとでこぼれた、取ってつけたような言い訳は、絶対いま思いついたやつだな。
「なんでよ?」
「そしたら季沙にかまってもらえる」
「もー!」
そういうことを言われるとわたしはすごく弱いんだ。
いつもひとりでがんばってしまうこうちゃんだから、どうしても、甘やかしてあげたいと思ってしまう。
でもそのぶん、こうして会えたときはわたしも恥ずかしいくらい甘えてしまうし、お互い様なのかも。