グッバイ・メロディー


「ほんと飽きないよね。中学のころからさ、毎日いっしょに来て、いっしょに帰って」


忙しくあしたの時間割をチェックしているわたしを見上げながら、はなちゃんはのんびり頬杖をついた。


「もう習慣づいちゃってるんだよ。幼稚園のころからずっとだもん」

「てことはもう10年くらい?」

「うん。もうほとんど家族みたいな感覚かも」

「ふうん、家族ね」


少し開いたドアの隙間からちょこっとだけ見えている制服姿に視線を移し、はなちゃんがゆっくり、3回うなずいた。

なんにもしていなくても長くてバサバサでくるんと上を向いたまつ毛、中1で出会ったときからずっとうらやましくて仕方ない。


「きょうは? これからスタジオ?」

「うん、そう! だからアキくんも来るよー」


アキくんは、こうちゃんの大親友。

そして、はなちゃんの中学時代の元カレ。


ただ立っているだけでかっこいいアキくんと、ただ座っているだけで美しいはなちゃんは、どっちも尋常じゃないくらいモテモテだったから、中2でつきあいだしたときは学年中がザワザワしていた。


悲しいことにすぐ別れてしまったのだけど。

交際期間は3か月くらいだったかな?

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