愛なんていらない。




燈が部屋に戻っていったのを確認して、ため息混じりに後ろを見る




ソファーに横になり、寝ているふりをしていた浅陽がもぞもぞと顔を出した



「わーってるよ…構うな、だろー。さっきはたまたまだよ。ウジウジしてんの見てイラついただけ」



こいつも毒舌…




燈がいない間に色々なことが起こった波鬼



総長が1年近く倉庫を空けておくのは、この世界では致命的なこと



その間に族間での関係が変わってしまうことだって少なくはない



総長の座を追われたり、その立場が危うくなることだってある



…まぁ当たり前に総長の信頼はガタ落ちなわけで




つまり、浅陽がこうなっているのにはそのせいが含まれてるってことだ





「…もー財くんが総長になっちゃえば?」




ふいに千夏が普通のことのように、有り得ないことをぶっこんできた


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