愛なんていらない。
「今、燈より陽架李を守れる自信がある。…でもやっぱり総長は燈なんだよ」
少なくとも陽架李は、俺より燈を信頼してるんだと思う。
今のことなら分からないけど、やっぱり過去のことは燈の方が知ってる。
陽架李が一番不安定な部分を支えてあげられるのは燈なんだ。
「一年をここを放っておいてそれを棚に上げてる奴よりは、財の方が信頼されてる」
燈は陽架李のお荷物だ、と言って顔を顰める浅陽。
最近毒舌がパワーアップしてるように感じてるのは俺だけだろうか…
「燈くんと陽架李って言ったら、断然陽架李だよね!」
それはこいつもか…
俺にそんなこと言ったってなぁ。
何も変えられやしないのに。
「現総長は燈。このことに変わりはない。幹部はしっかり着いていくまでだよ」
「…財くんが言うなら」
千夏は少し肩を落とし、拗ねたようにそっぽを向いた。
これじゃまるで子供だ。