愛なんていらない。
まぁいつものことか。
「尚って今何年生だっけ?」
「ん?俺かぁ……えっとぉー、高3」
「蒼…ツッコミどころはそこじゃねーだろ。尚が返答に困ってんじゃねーか」
面倒くさそうな湧にそう言われると、なんでもいい気がしてきた。
尚。
湧の友達…なのかな?
同級生ではないらしいけど、私は勝手に友達だって思ってる。
しょっちゅう遊びに来てるし。
だから、結構な頻度で湧と会ってる私は、いつの間にか尚と仲良く…なっていた。
「まーええやんか。相変わらず可愛いなぁ、蒼は」
“蒼”
湧以外にその名前で呼ばれることなんてないから、違和感がある。
好きじゃないからね、この名前は。
でも湧に呼ばれてるのは嫌じゃない。
「どーも」
適当に返事をすれば、泣くフリをしつつも、自分の家かのように上がってきた。
…私もだけど。
「帰らなくていいのか。修旅っていうぐらいなんだからホテル借りてるんだろ?」