愛なんていらない。
守られる人
++++尚
「また寝たのか…」
「疲れてるんやろ。そっとしとけや」
大きく溜め息を吐き「起こすわけねーだろ」とキレ気味に座った湧。
つい手に持っているものに目がいった。
「うっまそーやなぁー」
…いかんいかん。よだれが。
湧は蒼のために作ったものだったらしく、ブスッと不機嫌を丸出しにしてた。
「食えばいいだろ、こんなの1人で食いきれると思うか?」
「ほんならお言葉に甘えてっ」
うまいなぁ…
湧の料理の腕は相変わらずスゴい。そこらの料理人よりは数倍上手い。
俺は世界各地といっても過言ではない…色々な場所で飯を食った。
…から、贔屓目でないことは確かだ。
ま、留学せぇなんて言っても、即答されるに決まってる。
理由は一つ。
「で、なんで来たんだよ」
「…そりゃあ修学旅行で暇になったからやろ」
「んな理由でここまで来るわけねーだろ。面倒くさがりなお前が」
「酷いなぁ」
プゥ、と頬を膨らませて反論。我ながら気持ち悪いこった。
湧は言葉を返さずにただ顔をひきつらせている。
「なんかすまん」
「あぁ…」
暫くネタにされるな、これは。