愛なんていらない。
「ったく…」と、睨んでくる湧に首をすくめて怯んでいるように見せる。自分でもわざとらしいと思う。
「泊まらせてもらうかな。はぐれたら自己責任って言われとったしなぁ」
「適当すぎんだろ…」
ニカッと笑うと今度こそ完全に呆れられた。
「そんなもんやろー」軽く言って美味しそうな料理を再び食べ始める。──やっぱりウマい。
「蒼の為にここまでできるんは才能なんかもな」
「お前らには適わんわ」小さく呟けば、湧がニヤリと笑った気がした。
───湧には隠してることがありすぎて、あまり心が落ち着かない。
でも、俺にとって、蒼との約束は大事なもので…それこそ家族との約束なんかとは比べられないほどに。
周りからは結構軽い男だと思われてるけど、そうでもない。
蒼が俺を信じてくれてること。そのことが嬉しいから、裏切れるはずがない。
「おい」
「んぁ?」
咄嗟にでた声に顔をしかめる湧も、聞きたいことに集中していたのか、聞き流してくれた。
動揺しすぎた…
気には留めてほしくない。