愛なんていらない。
湧***
「あれ…」
目を開ければ、無駄に明るい部屋の中。
電気を消し忘れたかと思えば、どうやらそのせいじゃないなさそうだった。
蒼を寝かせに来てそのまま寝てしまったらしい。疲れてたからだろうな。
完全にその後の記憶が抜け落ちてる。
「はよ…ゆう~」
「お、おう」
寝不足気味な俺に対し、快眠!という言葉が似合いそうな蒼。
裂けそうなくらいに口をあけている。
ヤバい…これじゃあ尚に馬鹿にされても何も言い返せないな。
「そーいや尚…」
「そうだぁー。尚どーしたの?泊まっていったの?」
「…みてくる」
なんとなく不安になって、リビングに続く廊下を急ぎ目に歩く。
完全に忘れてた…あんなに表裏の激しい尚の存在を。
ボケたなぁ、俺も。
「尚?」
「起きたか」
片手にはフライ返し、もう片方にはフライパンを持った尚が目に入る。
爽やかな笑顔を向けられて戸惑う。